
5月のテイストオブツクバへ!空冷レーサーエンジン製作記~Part 3
2025 T.O.T SATSUKI STAGE出場に向け始まった、XJR1300レーサーエンジン製作プロジェクト。
MONSTER Evo.クラス参戦、ライダーはKRT Factory #21倉田選手。

エンジンを全分解し、ライダーと共にチューニングの方向性を決定していきます。

前回ブログでも触れましたが、このXJR1300は販売されているエンジンのチューニングパーツが少なく、主要箇所の部品を交換するために付随して検討しなければならない部品交換が発生し、その場合、要所ごとに部品を製作していくことになれば大幅に予算がかさんでしまいます。
そして忘れてはならないことがもう一つ、今後も長くレースで戦う上で、過酷な環境で酷使されたエンジンは定期的にメンテナンスを繰り返して使用していかなければなりません。そのため今後のメンテナンスコストも考慮し、主要な部品の入手の容易さなども考慮しておく必要があります。
とはいえ、レース用エンジンの製作ですので、性能にもコミットしなければなりません。

方向性を検討した結果、カムシャフトやビッグバルブ化など、パフォーマンスの高い部品に替えて限界値を引き上げるのではなく、カムシャフトや排気量などはスタンダードのパッケージのまま利用し、エンジンが損失している出力を減らしてあげることで、スタンダードエンジンが本来待っている素性を、可能な限り引き出す内容で製作することに。
選手権レースでは、スタンダードの仕様以外への改造がレギュレーション上認められていないクラスもあり、そういったクラスではマシンの性能差は”足すではなく引き出す”ことでしか違いを生み出せません。

各部のクリアランスをしっかり管理し、

”正しく組む”

排気量はスタンダードサイズですが、高圧縮化したエンジンに混合気をどう送り込むか、設定していきます。


そしてエンジン完成、、、。

完成したエンジンを引き渡し、これからエンジンを搭載しシャーシダイナモ上で慣らし、セッティング、そしてパワーチェックへと向かいます。

後日、エンジンの慣らしを終え、オーバーホール前のエンジンとの比較のため、以前と同じセッティングで一度パワーチェックしたとの連絡がありました。
その結果、数値は後軸128PSのエンジンが、後軸140PSを超えるエンジンへ強化。
本番までの残り少ない期間で、燃料、点火時期のセッティングを進め、さらにアジャストさせ出力を引き出していきます。

そして迎えた本番当日、、、

予選2番グリッド、フロントローを獲得し、

迎えた決勝レース、激しい2番手争いの末3位表彰台を獲得!
レースも無事完走し、当初の目標であった表彰台を獲得する結果となりました。

また、今後のレースに向け、さらなるバージョンアップも検討しておかなければならない事も認識することもでき、エンジン最大のパワーソースであるカムシャフト、バルブ回りのバージョンアップを構想しておかなければならないとも感じました。

バルブ周辺部品の開発、そしてカムシャフトは求めるプロフィールでの開発を検討し、今後さらなる進化を求めていきたいと思います。

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