首腰の動きはバイクの動き
ずいぶん日が長くなりましたね。
サンクチュアリーIMCの鈴木です。どうもみなさんこんにちは。
夕暮れ時、Chairに腰掛けICE珈琲を飲み、茜色に染まる夕日を眺め、かつて見たCaliforniaの荘厳なSunsetを思い出し黄昏れる、、、相変わらず時にちょっぴりNarcismが顔を覗かせるmyself、鈴木です。
最近はずいぶんと暖かくなってきまして、バイクに乗るにもいい季節になってきましたね。
久しぶり乗ってみると「ん?なんか乗りにくい気がする、、、?」なんてことがあったりしませんか?
意外とあるんですが、頻繁に乗ってる間は体が慣れてしまっていて気が付かず、久しぶりに乗ってみると「あれ?」なんて感じることがあったりします。
私鈴木は、お客さんの車両でロードテストをさせて頂くとき、キャブレーターのセッティングであれ足回りのチェックであれ、必ず気にする箇所があります。
それは、ステアリングの動きなんです。
ハンドル操作でステアリングが動いているくらいのものでそれ以外なにかあるの?と思われた方もいらっしゃるかと思いますが、ロードテストで感じたことをお話させて頂くと意外に「言われて見ればそんなこともあるかも?」なんてことがあったりするんです。
なんとなくこのバイク乗りやすいな、とか乗りにくいな、とかの原因は、意外とステアリングの動きが関係していることが多いんですよね。
では街乗りで感じる乗りにくさの原因はなんでしょうか?
交差点など車速の低いところで曲がりたい方向に車体を傾けた時に、オートバイには傾けた方向にハンドルの舵角が付くセルフステアという性質があります。
これは、車体のトレールやキャスター角、車体姿勢や前後荷重配分など、車体ディメンションによって大きく違いが出てくるところではあるんですが、機械的にセルフステアが利かないケースがあると、行きたい方向にタイヤが向かず、非常に乗りにくく危険な乗り物になってしまうんです。
その原因はというと、このステムベアリングの消耗なんです。
普段スパークプラグやエンジンオイルなどのように、頻繁に交換されるところではないのでなかなかピンとは来ないかも知れませんが、実はこのベアリング、ブレーキング時には車速、車体重量、ライダーの体重などすべての荷重が集中する過酷な環境下に置かれているベアリングなんですよね。
そんな箇所ですから繰り返しているうちに消耗し、そうしてる間に知らずのうちにガタが出始め、ガタの出始めた状態でハードブレーキングを繰り返しているとベアリングレースに打痕が付き、ハンドル操作の時にその打痕に引っかかってしまい自然なハンドル操作が出来なくなってしまうんです。
真ん中でハンドルがロックしてしまうことから俗にセンターロックと呼ばれる症状なんですが、これ意外と普段乗り続けていると気が付いていない方が多いんですよね。そうならないようにガタ付きが出始めた段階で調整し、ガタ付きを無くしてあげなければならないんです。
かといって逆に、きつく締め過ぎればいいという訳ではありません。きつく締め過ぎてしまえば、車体を傾けた時のセルフステアが付きにくくなり、非常にハンドル操作が重い乗りにくい車体になってしまいます。
このように、ステアリングの動きは緩過ぎず、重すぎず、とても繊細な調整が必要とされ、バイクの乗りやすさを決定付けるといっても過言ではないくらい、非常に重要な部分なんですよね。
そのためIMCへ作業を入れて頂いた車両のロードテストをさせて頂く際は、関係のない作業の時でも必ず、動きをチェックさせて頂いているんです。
IMCではベアリングの交換作業の際にも一手間加えておりまして、レースの幅が狭いテーパーローラー式のベアリングでは叩き抜くための引っ掛かりが浅いため、毎回ベアリングレース部分に溶接で肉盛りして叩き抜くための引っ掛かりを作らなければならなかったりします。
毎回このような作業をせずに済むように、次回のベアリング交換を容易にするため叩き抜くための引っ掛かりのきっかけができるように、ブレーキング時の影響を受けないよう横方向にくぼみを作る、フレーム側への加工をしてから組付けるようにしています。
こうすることによって、次回のベアリング交換をスムーズにできるようになりますね。
以前、国際プロライダーの方との話のなかで「足回りのセットがそこそこでも、ステアリングとスイングアームピボットが正しく作動していれば、それなりのタイムでは走れる」なんてことも聞いたことがありますから、車体の運動性能の根幹的な個所と言えますよね。
もし何万キロも乗られている車体で一度も交換したことがない、なんて方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度交換をお勧めします。
間違いなく乗りやすさが激変して、より楽しめるようになりますよ!
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