5月のテイストオブツクバへ!空冷レーサーエンジン製作記~Part 1

12月某日、、、

IMCの駐車場内に一台のトランスポーターが来車。

車内から降ろされ工場内に運び込まれたのは、一台のエンジン。

そのエンジンは9万キロ走行され多少くたびれた感のある、XJR1300の空冷エンジン。

エンジンを運び込み、ご依頼の内容を伺っていくと、

このエンジンを用いてテイストオブツクバ空冷クラスに参戦、とのご依頼です。

XJR1300、空冷直列4気筒エンジンながら、アルミメッキシリンダーを採用しているこのエンジン。

アルミメッキシリンダーの最大の利点といえば、耐摩耗性と冷却性に優れ、熱膨張率の同じアルミニウムをピストン、シリンダー壁双方に使用しているため、熱伝導率の高い同じアルミニウムを用いることで温度によるクリアランス(隙間)の変化が少なく、良好な冷却性能の安定化に貢献しています。

その上で軽量であり、空冷エンジンにはメリットが多い仕様と言えます。

テイストオブツクバ最速HERCULESクラスとの混走レース、スーパーモンスターエヴォリューションクラスに空冷Zエンジンで参戦していた当時、11月の外気温にも関わらず後軸150PSオーバーのエンジンから発生する熱量で熱ダレを引き起こしてしまい、油温を安定させることに非常に苦労した経験から、冷却性能の高いアルミメッキシリンダー化をどうにかできないものかと、何度も考えたこともありました。

しかし、アルミメッキシリンダーのボア(排気量)UP化は再メッキの時間、金額的コストなどの点から、非常にハードルの高いものになってしまいます。レース用エンジンではパワーを引き上げるならば、排気量UPと圧縮比UPは必要不可欠な要素となりますので、排気量の変更が行いやすいスチールスリーブに入れ替えたり、同じXJRならば元々スチールスリーブ仕様のXJR1200をベースにチューンナップされるケースが多い理由もその一つなんです。

今回のXJR1300エンジンにおいても、エンジンパワーを引き上げていけばいくほど最後は油温とエンジンの耐久性の闘いになることが予想されます。

周回レースにおいてエンジンのマイレージも非常に重要な要素となり、最後まで走り切ることができる耐久性がなければなりません。

そしてライダーの走り方によっても、コーナリングからの立ち上がりのトルク重視なのか、ストレートの最高速を重視するのか、どこの領域にフォーカスするのかで製作するエンジンの方向性が変わってきます。

まずはこのエンジンを一度分解し、現状の各部の状態を確認しどういった方向性で進めていくのか、ライダーと共に検討していきたいと思います。

そしてこれは、ストリートでお使いのエンジンにおいても全く同じことが言えるんですが、ご相談の内容を詳しく伺ってみると、ご使用の目的や普段走行するステージは人それぞれ全く異なります。

市街地で低回転域からしっかり使えてストレスなく走りたいのか、高速道路で気持ちよく高回転域を回したいのか、オールマイティに全域をカバーしたいのか、それにより部品の選択やエンジンの仕様も異なってきますので、エンジンのメンテナンスだからといって全く同じ内容のメニューとはなりません。

今後エンジンのメンテナンスなどをお考えの方は、ご使用の目的により金額、時間などどういったメニューが最も適した内容になるのか、一度ご相談いただけたらと思います。

5月のテイストオブツクバへ向けて、XJRレーサーの製作をスタートしていきたいと思います!

 

〈年末年始休業のお知らせ〉

令和6年12月30日から令和7年1月3日までの期間は年末年始休業をいただいております。

ご不便をおかけいたしますが、何卒ご了承いただきますようお願い申し上げます。

1月4日(土曜日)から通常営業を開始しておりますのでお気軽にご来店お待ちしております。

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